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外交研究会 要旨 (2010年)

ユーラシア東部のバランス変化―  中国・ロシア・中央アジアでの活動を踏まえて  

2010.10.27
河東 哲夫

日本の外交においてはこれから、中国にどう対処するかが最大の課題になる。

これまでのように、これを日中二国間でだけ何とかごまかしても処理しようとするのでなく、国際政治・経済関係全体の中で対中バランスを確保するという包括的、総合的なアプローチが必要だ。

中国は、ヨーロッパと同じく孤絶して発展した文明ではない。ユーラシアの一部として、「オリエント」と常に一体のものとして発展してきたのである。「オリエント」は現在北アフリカ、中近東、中央アジア等に分けて考えられているが、実際にはそのような境界は史上なかった。

今回は便宜上、そのうちの中央アジアについてケース・スタディということで、この地の情勢を動かす諸要因――大国の思惑、エネルギー問題等――を分析してみたい。ユーラシア大陸のダイナミックスを解剖し、そこにおいて日本外交の地歩を維持していくことが対中バランス維持に資するからだ。 西側と緊密な経済関係を有する中国は、かつてのソ連のように「封じ込める」ことはできない。中国もメンバーとする種々の国際協力関係の網の目の中に「塗り込める」ことが適当だ。