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外交研究会 要旨

TPPについて  

 2011.2.14
石 川 幸 一

1. TPPの経緯  

  TPP(環太平洋経済連携協定)は、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国のFTAであり、2006年5月に発効した。当初の協定は、投資と金融サービスの規定が含まれておらず、2008年3月から交渉をすることになっていた。2008年3月に始まった投資と金融サービスの交渉には米国が参加し、米国は同年9月にTPP全分野の交渉に参加することを決定した。11月には豪州、ペルー、ベトナムが交渉に参加を表明した(ベトナムは準メンバーとして)。政権交代後、米国はTPPに対し態度を保留していたが、2009年11月に東京で行った演説でオバマ大統領は環太平洋経済連携に関与すると表明し、カーク通商代表はTPP交渉への参加を表明、12月には議会に交渉開始を通告した。

  TPP交渉は2010年3月にメルボルンで8カ国により開始され、10月にはマレーシアの交渉参加が認められ交渉参加国は9カ国になった。マレーシアは米国と2国間FTAを交渉していたが、2009年11月に米国から2国間FTAよりもTPP交渉を優先することを通告され、TPP交渉参加を検討し2010年7月に参加を決定していた。11月にはベトナムが準メンバーから正式交渉メンバーに格上げされた。その後、12月にニュージーランド(第4回)、2011年2月にチリ(第5回)で交渉が行われた。今後、3月にシンガポール、6月にベトナム、9月に米国、10月にペルーで交渉が予定されており、11月にハワイで行われるAPEC首脳会議での締結を目標にしている。ただし、TPP交渉では参加国間で意見の相違がかなりある模様で、11月の締結は難しく、実質合意する(conclude substantially)のではという見方もある。また、日本が交渉に参加する場合、11月締結は無理と見られている。

  2006年に発効した4カ国の協定も現在9カ国で交渉中の協定もTPPと呼ばれている。9カ国で交渉中の協定は、4カ国で発効した協定を拡大・発展させる協定と位置づけられているが、内容は変わりつつあるようである。両者ともTPPと呼ぶのは混乱を招くので、4カ国の協定をP4(Pacific 4)、9カ国の協定をTPPと呼ぶようにする。

2.  P4とTPP  

  P4は、2001年に発効したシンガポールとニュージーランドのFTA(NZSCEP)をベースにしている。NZCEPは100%自由化(関税撤廃)する自由化率が極めて高い協定であり、P4も原則として100%自由化する自由化率の高い協定である。同時に多くの分野を対象とする包括的な協定である。特に、アジアのFTAでは一般に含まれていない環境と労働に関する規定を補完協定および覚書として含んでいる。ただし、前述のように投資と金融は含まれていない。また、APECのFTAを目指しており、締約国の合意により他の国の参加を認める規定がある。

表1 P4の構成

  TPPはP4を拡大・発展させている協定だが、実態は別の協定になりつつある。TPPの協定条文は、P4の協定がそのまま使われるのではなく、どのような協定条文にするのかについて交渉が行われている。詳細は判らないが、報道によれば参加国でかなり意見の対立もあるようである。協定条文について、P4参加国はP4の協定条文を使うことを主張し、米国は自国の締結したFTA、特に米韓FTAをベースにした協定条文を望んでいるといわれている。また、9カ国では多くの2国間FTAが締結されており、こうした既存のFTAの取扱いについても意見が対立しているようである。
現在、24の作業部会(主席交渉官会議、市場アクセス<工業、繊維・衣料品、農業>、原産地規則、貿易円滑化、衛生植物検疫<SPS>、貿易の技術的障害<TBT>、貿易救済措置、政府調達、知的財産権、競争政策、サービス、金融サービス、電気通信サービス、商用関係者の移動、電子商取引、投資、環境、労働、制度的条項、紛争解決、協力、分野横断的事項)で交渉が行われている。P4と比べると、市場アクセスが3分野に分かれていること、投資、金融サービス、分野横断的事項が入っている点が違っている。P4と米韓FTAの章構成をTPP作業部会と比較してみると、P4をベースに米韓FTAの章立てを取り入れた形になっている。たとえば、市場アクセス(物品の関税削減・撤廃)を3分野に分けたのは米韓FTA(4分野)を踏襲しており、米韓FTAにはない商用関係者の一時入国と協力がTPP作業部会には含まれている。

表2-1  P4、米韓FTAの章構成とTPP作業部会構成(物品の貿易関係)

表2-2  P4、米韓FTAの章構成とTPP作業部会構成((投資、サービス関係)

表2-3  P4、米韓FTAの章構成とTPP作業部会構成(その他)

  P4は協定への新規参加を規定しており、P4を拡大・発展するTPPも同様である。参加は全交渉参加国の合意が必要である。カナダは交渉参加を要望していたが、米国とニュージーランドの反対で参加出来ていない。交渉参加には、全ての事項を交渉のテーブル載せること(everything on the table)が求められる。交渉参加前に全て自由化し合意することは求められておらず、バーバラ・ワイゼルUSTR・TPP首席交渉官は、入場料は払う必要はない(no entrance fee)と発言している。また、米国は通商交渉開始90日前に議会に通告することが必要であり、TPP交渉参加を決定し関係国に通告してから交渉が始まるのは90日後になる。マレーシアがTPP交渉参加を決定したのは2010年7月だったが、実際に交渉に参加したのは10月であり3ヵ月後になっている。また、交渉参加希望国の戦略的重要性も考慮されるといわれている。米国の参加は、TPP拡大の触媒となるとして歓迎されたし、ベトナムは繊維の輸入増や労働条件などが懸念されてが、開発途上国のTPP参加を促すことが期待されたといわれる。

3.  何が交渉されているのか  

  TPPの協定条文案は発表されていないし、交渉の詳細は明らかにされていない。しかし、P4協定が材料になっているのは確かであり、また、米国は米韓FTAなど自国のFTAの規定をベースに協定条文を提案しているようである。また、極めて限定された内容であるが、TPP交渉参加国政府のホームページ(通商代表部や経済産業省など)に交渉について発表が掲載され、一部が報道されている。P4協定、米韓FTAにそうした断片情報を集めて交渉事項について整理してみた。TPP交渉状況に関する記述は公式資料により確認された内容ではないことにご留意頂きたい。なお、韓米FTAについては、協定とともにジェトロ海外調査部(2008)「米韓FTAを読む」ジェトロ、を主に参照した。

(1)市場アクセス  

  P4では、「他に規定のない限り、発効と同時に他の締約国の原産品に対する全ての関税を撤廃する」(第3条)と規定されており、原則として100%自由化することが示されている。ただし、チリは砂糖・同調製品が除外されており、ブルネイは酒・タバコ、火器・花火が除外されている。チリの除外品目は、品目数の0.1%、ブルネイは同じく0.8%だから99%以上の自由化率を達成している。発効時点での関税撤廃率は、シンガポール100%、ニュージーランド82.3%、ブルネイ68.07%、チリ74.5%であり、シンガポール以外の3カ国は10年かけて自由化する。日本の締結しているEPAの自由化率は、輸入額ベースでは90%台だが品目ベースでは80%台であり、P4はほぼ100%に近い自由化率の極めて高いFTAといえる。

  米韓FTAは、米国の自由化率100%、韓国の自由化率99.7%(品目ベース)であり、やはり自由化率は非常に高い。発効と同時に関税を撤廃する品目は、米国82.4%、韓国80.4%であり、10年で関税撤廃する品目は、米国99.2%、韓国98.2%である。関税撤廃に10年以上かける品目は、米国が82品目、韓国が167品目である。韓国の除外品目は、米・同関連品目、乳製品など農産品31品目である。米韓FTAは2010年12月に最終合意されたが、自動車については米韓とも自由化の内容が後退していることが注目される。たとえば、韓国は当初は自動車関税(8%)を即時撤廃するとしていたが、最終合意では4%に削減し5年目に撤廃とした。米国は乗用車の関税(2.5%)を即時撤廃としていたが、5年目に撤廃となった。また、米国は自動車特別セーフガードを導入した。  

  TPPの交渉では、2つの交渉方式が提案されている。米国は既存の2国間FTAをそのまま残し、FTAのない国との2国間交渉を主張しており、チリとベトナムが支持しているといわれる。一方、豪州、ニュージーランド、シンガポールは、全体で統一交渉を行い、既存FTAは再交渉(reopen)することを主張しているといわれる。

  米豪FTAでは砂糖を除外し、牛肉は18年で関税を撤廃することになっているが、こうした例外措置が米国の提案している方式では残ることになる。TPP9カ国では、すでに25本の2国間FTAが締結されており、例外品目が少なからずあるが、それらは再交渉しなければそのまま残存することになり、原則として100%自由化するFTAにはならない。米国方式では、TPPは多くの2国間FTAを束ねたFTAとなり、文字通りスパゲッティ・ボウル現象が起きる可能性がある。2010年6月に既存のFTAとTPPは並存(co-exist)することが合意され、当面は2つの交渉方式が並存することになった。  

  最終的に除外品目が認められるかどうかは判らないが、米国は既存FTAの再交渉はしないと言われているため、除外が認められる可能性はかなりあると考えられる。ただし、一部に除外が認められるにしても自由化率は99%程度が求められるのではないかと考えられる。

図1 TPP交渉参加国および日本の2国間FTA締結状況

(2)原産地規則

  原産地規則は、ニュージーランドはP4の原産地規則を提案し、米国は米韓FTAの規定をベースにした原産地規則を提案しているといわれる。P4の原産地規則は、関税番号変更基準(HS4桁、HS6桁)が基準となり、付加価値基準(45%、50%)と加工工程基準(化学品など)を採用している。原産証明は輸出者の自己証明方式である。域内原産割合の算出は取引価額(transaction value)を使った控除方式である。

  P4の域内原産割合算出方式

  一方、米韓FTAは、関税番号変更基準を原則として、付加価値基準、加工工程基準が採用されている。一部品目(機械)は、関税番号変更基準と付加価値基準の双方を満たすことが要求されており、厳しい規則となっている。また、繊維についてはヤーンフォワードが採用されている。原産証明は輸入者が行い、自己証明方式である。域内原産割合の算出は、輸送費を控除した調整価額(adjusted value)を使い、控除方式と積上方式の選択制となっている。争点となっているのは、原産地証明を輸出者が行うのか、輸入者が行うのかと取引価額を使うのか調整価額を使うのかであるといわれている。  米国は、ヤーンフォワードを繊維・衣料品の原産地規則としたい意向といわれる。ヤーンフォワードは米国のFTAで採用されている繊維製品の原産地規則である。米国が懸念しているのは、中国製の糸を使用したベトナムからの繊維製品の輸入急増である。ヤーンフォワードが米国とベトナムのFTAで採用されると、ベトナムはTPPにより無税で米国に輸出するには自国産か米国産の糸を使わねばならなくなる。米国は、ほかにも繊維セーフガード、税関確認手続きなどの導入を考えているといわれている。

(3)サービス  

  サービスは3月の交渉で提案を行うことになっている。自由化提案は、自由化を行わない分野を提示するネガティブリスト(留保表)方式で行うことになっている。ネガティブリスト方式ではリストで留保された分野以外は自由化を行う分野となる。

  P4のサービス貿易の規定は、WTOのGATS(サービス貿易一般協定)に準じた規定となっており、主な規定内容は、内国民待遇、最恵国待遇、市場アクセス、現地拠点、非適合措置、国内規制、専門資格と登録、利益の否認、資金の移転と支払などである。市場アクセスでは、①サービス供給者の数の制限、②サービスの取引総額または資産総額の制限、③サービス総産出量の制限、④サービス提供者の雇用者の制限、⑤企業形態制限、⑥外資制限、の6つの措置を自由化を約束した分野で採ることを禁じている。自由化の約束は、ネガティブリスト方式で行い、WTOでの自由化以上の約束を行うことが求められている(WTOプラス)。

  米韓FTAもネガティブリスト方式を採用しており、越境サービス、金融サービス、電気通信、電子商取引の各章が設けられている。ネガティブリストは、①現状維持義務あり(規制緩和は可能だが自由化を後退させる措置は認められない)、②現状義務なし(規制の強化および新たな規制の導入が可能)に分けられている。なお、日本のEPAは、ASEANとの協定では自由化を行う分野を提示するポジティブリスト(約束表)方式、メキシコ、チリとの協定はネガティブリスト方式が採用されている。

  P4と米韓FTAの基本的な規定は、ほぼ同じなのでTPPも同様な規定になると思われる。ただし、章構成では、P4はサービス貿易1章だけだったが、TPPでは作業部会の構成に沿えば、越境サービス、金融サービス、電気通信、電子商取引の4章となる。商用関係者の移動については1章にするのかどうか検討されている。自由化約束はネガティブリスト方式が採用されている。 自由化の約束についてはWTOプラスが要求される。WTOは、サービス貿易を11分野、55部門、155業種に分類している。石戸光によると、TPP交渉参加国のWTOでの約束は55業種を対象に市場アクセスについてみると、最大が米国の25分野、最小がペルーとチリの1分野となる。物品の貿易ではほぼ100%自由化しているシンガポールでもサービス貿易では9分野であり、自由化の余地は大きい。

表3 TPP加盟国のGATS約束表上のサービス分野の約束

(注) 第1モードと第3モードともになんらかの約束がある場合に約束とみなす。 なお、第1モードはサービスの越境、第2モードはサービスの消費者の越境、第3モードは商業拠点の越境(サービス産業の投資)、第4モードはサービス供給者の越境である。
(出所) 石戸光「APEC参加エコノミーを取巻くサービス貿易自由化の現状」アジ研ワールド・トレンド 2010年12月号

<金融サービス>  
  P4は、金融サービスについてはサービス章の付属書で金融サービスの定義のみを掲載し、具体的な規定は行っていない。そのため、2008年3月から交渉が行われている。米韓FTAでは、内国民待遇、最恵国待遇、市場アクセス、経営幹部と取締役会、透明性など基本的な規定のほかに、顧客情報など機微な金融情報の取扱い、信用秩序維持のための措置の採用を保障する金融安全性確保のための例外規定、金融監督機関の協力などの独自の規定が設けられている。

(4)投資  

  P4には投資の規定がなく、2008年3月から交渉が開始されている。米韓FTAでは、投資自由化はネガティブリスト方式を採用し、主な規定は、投資前を含む内国民待遇、最恵国待遇、公正かつ衡平な待遇、収用および補償、資金の移転、経営幹部および取締役会、パフォーマンス要求などである。パフォーマンス要求は、①輸出要求、②現地調達要求、③国内物品の購入要求、④輸出あるいは外貨稼得高による輸入制限、⑤輸出あるいは外貨稼得に応じた販売制限、⑥技術移転要求、⑦特定地域への独占供給要求、などの措置が禁じられている。経営幹部の国籍要件は禁じられ、取締役会の構成員の過半数については国籍要件と居住者要件は認められている。これらの規定は日本のEPAの投資章にも含まれており、TPPにも規定されると考えられる。

  米韓FTAには、締約国政府が協定義務に反し投資家に損害を与えたときに投資家が締約国政府を提訴あるいは国際仲裁に付託できるという投資家対国の紛争解決の規定が設けられている。TPP交渉では、投資家対国の紛争解決の規定を入れたい米国と反対する豪州とニュージーランドが対立しているといわれている。米豪FTAでは、豪州の反対により投資家対国の紛争解決の規定は含まれていない。日本のEPAを含め、近年締結された多くのFTAでは、投資家対国の紛争解決規定を含んでいる。

(5)知的財産権

  P4の知的財産権の範囲は、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs協定)で取り上げられている基準、すなわち、著作権、商標、地理的表示、意匠、特許、集積回路の回路配置、開示されていない情報の保護である。一般的義務として、TRIPs協定およびその他の知的財産権に関する国際協定の権利と義務の再確認、権利消尽を認めること、チリのワイン、スピリッツに関する地理的表示の保護などを規定している。

  米韓FTAは、①著作権の保護期間はTRIPs協定およびベルヌ条約の50年を上回る70年、②著作権保護を詳細に規定、③音声なども商標の対象、④不合理な遅延による縮小する特許存続期間の延長、⑤知的財産権侵害対策の実施強化、など知的財産権の保護を強く打ち出した内容である。

  TPP交渉では、米国とニュージーランドが対立している。ニュージーランドはWTOのTRIPs(知的所有権の貿易関連の側面に関する規定)協定の規定に準拠することを主張し、米国は米韓FTAのようなTRIPs協定の保護の水準を上回る規定を主張している。  

  争点の一つは権利消尽である。知的財産権は生産国で製品が適法に販売されると消滅するという権利消尽を認めると、生産国で販売されている商品を正規の代理店を通さず並行輸入し自国で販売することが可能になる。P4は権利消尽を認めており並行輸入が可能であるが、米国は権利消尽を認めず並行輸入を認めないことを提案しているといわれる。米豪FTAでは、特許医薬品の並行輸入が制限されている。ほかにも、米国は複製権を特許権者に認めることを提案しているといわれる。なお、米韓FTAでは、韓国側の反対により並行輸入の制限は盛り込まれていない。

(6)政府調達  

  P4の政府調達についての規定では、締約国企業への内国民待遇と無差別が約束されている。政府調達に関連して、他の締約国の物品、サービスおよびそれらの提供者を自国の物品、サービスおよび提供者よりも不利に取り扱ってはならない。また、他の締約国の自然人と関係を持ち、あるいは所有されている自国の提供者を他の自国の提供者よりも不利に取り扱ってはならない。

   対象となる政府機関は、中央政府機関および地方政府機関であり、中央政府機関ではニュージーランドは35機関、チリは20機関、シンガポールは23機関が対象となっている。チリは地方政府機関も対象であり、Intendencia(州)とGobernercion(県)が対象となっており、市町村は対象外である。なお、ブルネイは2年間の猶予期間が与えられている。基準額は物品とサービスが5万SDR、建設が500万SDRとなっている。政府調達に関連する見返り措置(オフセット)は禁止されている。  

  米韓FTAでは中央政府機関のみが対象となっている。調達基準額は、WTOの政府調達規定から半減されており、締約国に開放される政府調達の範囲が拡大されている。WTO政府調達協定に調印しているTPP交渉参加国は米国とシンガポールのみである。日本はWTO政府調達協定に参加しており、中央政府機関、地方政府機関(県と12市)、独立行政法人が対象などとなっている。また、日本シンガポールFTAでは、基準額を10万SDRに引き下げているが、地方政府機関と建設工事などのサービスは対象外としている。

   TPP交渉では、WTOで改正交渉が行われている政府調達協定の条文案で規定されている事項について議論が行われている(外務省「TPP交渉の24作業部会において議論されている個別分野について」)。WTOの改正交渉では、協定の改善・手続きの簡素化、開放的な調達を阻害する差別的な措置および慣行の撤廃、協定の適用範囲の撤廃が対象になっていた(経済産業省「不公正貿易白書2010年版」)。

(7)TBTとSPS

  製品の品質、安全性は、消費者の健康や安心にとり極めて重要である。製品が環境を汚染しないかに留意する消費者も多い。製品の品質、安全性、環境保全などのために各国は基準を設け、基準に適合しているかを認定する認証制度を設けている。こうした基準や認証制度が必要以上に貿易障壁となることを防ぐためのWTOのルールがTBT(貿易の技術的障害)協定である。FTAでも同様な規定が設けられており、他の加盟国の基準や認証を自国でも認める相互承認などの制度が設けられている。  

  農産品や食品の安全性は、人間だけでなく動植物の生命、健康の維持に極めて重要である。そのため、検査を行い危険性を評価し必要に応じ輸入を規制することが認められている。そのルールがWTOのSPS(衛生植物検疫措置)協定であり、生命、健康の保護のために必要な限度内において科学的な原則に基づいて衛生植物検疫措置の実施を認めている。ただし、恣意的な差別や偽装された貿易制限にならないようにという条件を設けている。WTOのSPS協定では、国際機関が作成した危険性評価の方法を考慮しつつ、自国のSPS措置をそれぞれの状況において適切なものに基づいてとることができる(第5条1項)となっており、国際的な基準より厳しい措置をとることができるが、科学的証拠に基づいており必要以上に貿易制限的であってはならないと規定されている(第5条)。

  P4のSPS(衛生植物検疫)の規定は、WTOのSPS協定の権利と義務の確認、SPS委員会の設置、同等の措置(輸出国のSPS措置を輸入国が同等の措置として受け入れ)、輸出国の手続きの確認、地域的な状況に対応した調整、輸入検査、技術協力などが規定されている。米韓FTAのSPSの規定はP4より短く、SPS協定の確認、委員会の設置、紛争解決となっている。  

  P4のTBT(貿易の技術的障害)の規定は、WTOのTBT協定の義務と権利の確認、任意規格、強制規格、適合性評価における共同作業による貿易円滑化、国際規格の使用、他国の強制規格を同等の措置として受け入れることを検討すること適合性評価の結果の受入れの円滑化、技術協力と委員会の設置などが規定されている。米韓FTAのTBTの規定はP4と大きくは違わないが、自動車作業グループの設置が規定されている。

  上述の外務省資料によると、TBTについては、基準の策定過程について相手国の利害関係者の参加を認めることや一般からの重要なコメントへの回答を開示することによる透明性の向上などが議論されている。

(8)商用者の一時的入国  

  P4では、締約国のビジネス・パースンの一時的入国と滞在の円滑化が規定されている。 「ビジネス・パースン」は物品とサービスの貿易に従事する締約国国民、「一時的入国」は居住を目的としない締約国領域への入国と定義されている。この規定は市民権、国籍、雇用、移住、永住に関する措置には適用されない。締約国は、一時的入国のための入国管理手続きを簡素化・透明化し、一時的入国を円滑化すると同時に国内労働力と雇用を保護する。

  米韓FTAでは、商用者の一時的入国に関する章が置かれていない。韓国との交渉の際に米国側は、移民関連法規は議会の専管事項であり行政府は交渉権限がないことを理由に交渉を拒否した。米国はTPP交渉でも一時的入国の促進に消極的といわれる。

   ビジネス関係者の出張や駐在の際のビザ手続きの迅速化や受入れ拡大に関する規定であり、単純労働者の受入れや移民に関する規定ではない。

(9)貿易救済措置  

  P4では、WTOのセーフガード協定、アンチダンピング協定(1994年GATT第6条の実施に関する協定)、補助金および相殺措置に関する協定による権利と義務を確認している。チリは特定品目(乳製品)について関税削減期間中に特別農業セーフガードが設けられている。

  米韓FTAでは、①一般セーフガード、②繊維・繊維製品セーフガード、③農産品対象セーフガード(韓国)が設けられており、2010年12月の最終合意で自動車セーフガード(米国)が設けられた。一般セーフガードは、WTO協定に比べ、適用可能期間を短くするなどより厳格な運用を求めている。アンチダンピングと相殺関税については、事前通知、事前協議、貿易救済委員会での点検が規定されており、これらの措置の乱用へのブレーキになることが期待されている。

(10)競争政策  

   P4では、オープンで競争が行われる市場を創り出し維持するために、民間および政府のビジネス活動を含む全ての商業活動に、事業体による差別および原産地および仕向地による差別を行わない方法で競争法を適用することにより、貿易・投資に対する障壁を削減・除去することを約束するとしている。

 競争法と施行については、①締約国は反競争的ビジネス行為を禁止する競争法を採用あるいは維持すること、②反競争的な取決めと競争者により申し合わされた慣行および独占的な地位の乱用に注意を払うこと、③競争法は全ての商業活動に適用されるが、適用除外措置と分野を設けることができること、④反競争的なビジネス活動を禁止する措置の施行に責任を持つ競争政策執行当局の創設・維持を行うこと、などが規定されている

   協力については、締約国の競争政策分野での情報交換により協力を行うこと、P4の発効後に競争当局間で協力協定の締結を探求することが規定されている。公企業および特別あるいは排他的な権利を付与された企業については、自国の法律に従い独占を指定あるいは維持できる(国営および指定独占)。独占を認められた企業については、物品およびサービスの貿易を歪曲するような措置を採用、維持することがないことを締約国は確保する。ほかに、通報、協議と情報交換、紛争解決が規定されている。

  競争法の適用除外は、ニュージーランドとシンガポールについて付属書で示されている。ニュージーランドは、①Pharmac(Pharmaceutical Management Agency)による製薬補助金、②輸出取決め(Export arrangements)、③農業生産局(Agricultural Producer Boards)が指定されている。シンガポールは、郵便サービス、上水道、下水道、公共交通、貨物ターミナル運営、自動手形交換所による手形決済と交換、法により認可されたM&Aとなっている。  

 米国は、Pharmacによる補助金を問題視している。ニュージーランド政府は、価格補助金の対象となっていない薬品の販売を制限していないが、保険会社は補助金対象外の薬品を保険の対象外とし、医者は対象外の薬を投与したがらないという。そのため、製薬会社は補助金対象外の薬品の販売をしない傾向がある。米国企業は、Pharmacの透明性と予測可能性の欠如、煩瑣な認可手続きを批判しており、1993年にPharmac設立後数社の米国の製薬会社がニュージーランドから撤退している。米豪FTAでは、米国企業が機会を得ることが出来るように同様な制度について協議と透明性を高めるメカニズムを作ることに合意している。  

  米国のTPP推進企業の集まりであるTPPビジネス連合(U.S. Business Coalition for TPP)は、TPPに含めるべき基本原則の一つに「公平な競争と同等の競争条件(fair competition and a level playing field)をあげており、特に、国営、国家出資、国家が優遇する(state-favored)業界が民間企業および外資と同等の条件で競争することを確保することを要求している。公企業による独占、指定独占はTPP交渉の争点になっていると思われる。

(11)環境と労働

  P4には環境と労働に関する規定が含まれている。これは、ニュージーランドの労働党政権が労働団体や環境保護団体の支持を得るために盛り込んだものである。  

  環境協力に関する協定では、基本的な約束として、①高いレベルの環境保護と多国間の環境約束、実行計画の実施、②国際的な環境約束に調和した環境法・規制・政策・慣行の保持、③主権の尊重、④保護貿易の目的で環境法・規制・政策・慣行を定め、利用することは不適切であることを認識、⑤貿易投資を奨励するために環境法・規制を施行・運用しないことは不適切であることを認識などが規定されている。ほかに、協力、制度的取り決め、協議、情報開示などの規定がある。米韓FTAの環境の規定は、環境保護のレベル、多国間環境協定、環境法の適用と施行、手続き、保護の実効を高めるためのメカニズムなど環境保護の実施に力点を置いた規定である。  

 P4の労働協力についての覚書では、基本的な約束として、①ILO加盟国である締約国は労働の基本原則と権利宣言とそのフォローアップへの約束の確認、②国際的な労働約束に調和した労働法・規制・政策・慣行の確保、③主権の尊重、④保護貿易の目的で労働法・規制・政策・慣行を定め、利用することは不適切であることの認識、⑤国内労働法で規定された保護を弱め、削減することにより貿易投資を奨励することは不適切であることの認識などが規定されている。ほかには、協力、制度的取り決め、協議などの規定が設けられている。ILOの労働の基本原則と権利宣言では、基本的な権利として①団結の自由と団体交渉、②強制労働の廃止、③児童労働の廃止、④雇用と職業に関する差別の撤廃、などが掲げられている。 

  日本では外国人労働者の受入れ規定と誤解されているが、労働協力に関する規定は、労働者の権利や保護の確保に関するものであり、外国人労働力の受入れは対象外である。  

  米韓FTAの労働の規定は、ILOの義務の確認、ILOの労働の基本原則と権利宣言の基本的な権利の採用・維持、労働法の適用と施行など労働者の権利の保護を強く打ち出している。  

  環境と労働は米国がFTAで最も重視している分野である。2007年5月の通商政策に関する超党派合意で明記されており、2009年2月のオバマ政権最初の通商政策アジェンダでは、通商政策における社会的責任(労働、環境など)を重視している。  

  環境と労働に関する規定の目的は環境と労働者の保護を目的にしている。同時に、環境と労働者の保護はコストがかかるため、環境と労働保護の国際的な基準を守らず低コストで生産を行うこと、さらにそうした国に企業が進出することを防止することが目的になっている。一方で、偽装した保護主義を防ぐことも規定に含まれている。

(12)分野横断的事項  

 分野横断的事項は、TPPの対象とする各分野に共通して適用されるコンセプト、ルールなどである。P4に規定がない新たな交渉事項であり6月に交渉予定である。米国が重視している分野であり、USTRの交渉担当者リストでは、規制制度間整合<規制の調和>(Regulatory Coherence)、中小企業、競争力、地域統合、政策の統合、開発、透明性、現存する協定などがあげられている。この中で注目すべきは規制制度間整合であろう。

  規制制度間統合について、米国議会の資料(The Trans-Pacific Partnership Agreement, November 2010,Congressional Research Service)は、「非関税障壁を撤廃し規制制度をより互換的で透明なものにする試みであり、政府の規制を行う権利に介入するのではなく、現存および新たな規制について自国内の規制の整合性と協力をTPP参加国間に拡大していくことが目標である。国内の規制の整合性を達成するための一つの方法は、米国の管理予算局の情報および規制部(Office of Information and Regulatory Affairs in the Office of Management and Budget )のような規制調整機関を作ることである」と説明している。これによると、国内規制制度の整合性を図ることとTPP加盟国間の規制制度の透明性を向上し両立できるように協力することが狙いとなっている。  

  TPPビジネス連合の規制制度間整合ワーキンググループの資料はより具体的で踏み込んだ提案をしている。目的の一つとして、規制制度間整合を戦略的・政治的課題とし出来る限り拘束的な約束を求めることをあげており、できれば政府の規制に介入できることを望んでいる。前述のように米政府交渉官は政府に介入することは否定している。規制制度間整合をTPPの主要な目的と位置づけ、TPPの前文と各章に盛り込むべきとして様々な提言を行っている。提言には、①OECDやAPECなどの規制のベスト・プラクティスを導入する、②SPS協議委員会の創設、③APECの通信機器適合性評価のMRA(相互承認協定)などの特定業種のMRAに参加する、④TPP規制委員会の創設、⑤知的財産権の強い保護を基準に含めそうした基準を規制のベースとすることを明確にする、などが含まれている。 

4.  長期的戦略でTPP交渉に参加した米国  

  米国がTPP交渉に参加したのは、まず、世界の成長センターであるアジア太平洋地域での米国および米国企業の経済的権益を確保するという狙いがあったためである。アジア地域のFTA構想は、EAFTA(ASEAN+3)、CEPEA(ASEAN+6)とも米国を除外しているが、TPPは米国排除の構想ではなかった。次に、21世紀のモデルFTAを作るという長期的な戦略がある。小国の集まりであるP4に参加しても輸出の増加効果は極めて小さい。将来APEC地域のFTAに拡大する可能性のあるTPPに早期に参加しルールを作るという戦略である。そのために早期に参加を決めたと考えられ、自国が締結したFTAのルールを盛り込もうとしている。また、P4が自由化レベルが高く包括的なFTAであり、環境と労働に関する規定が含まれていることも理由となっている。オバマ政権は2009年11月にTPP交渉参加を決めたが、上記の長期的な戦略に加え、5年間で輸出を倍増するという国家輸出計画にTPPを含めたFTAを活用していくと考えられる。

  米国は2007年5月合意と呼ばれるFTAに関する超党派合意がブッシュ政権と議会の間でなされ、現在もFTA政策の基本となっている。超党派合意では、①労働(国際的に認められた労働原則を貿易協定に含めるなど)、②環境(国際的に認められた多国間環境協定を貿易協定に含めるなど)、③知的財産権(途上国との貿易協定で知的財産権の強い保護を保持する)、④投資(米国で米国の投資家が供与されている以上の投資保護を外国投資家に与えない)、⑤政府調達(政府調達における物品とサービスの供給者はその母国で基本的労働法を順守していなければならないという要件をFTAに含める)などが決められている。TPPでもこうした事項を盛り込むことを米国は提案・主張すると思われる。

5.  日本の交渉参加について  

  日本は、2010年11月にTPPについて「情報収集を進めながら関係国と協議をする(包括的経済連携に関する基本方針)」ことを決めた。しかし、オブザーバーとしての交渉に参加することは認められず、政府は交渉後に担当官を派遣して各国と協議を行い情報収集を行っている。政府は6月までに交渉参加に関して方針を決定するとしている(東日本大震災により6月までの方針決定は先送りされた)。ただし、交渉参加を決定しても参加が認められるかどうかは判らない。カナダは2010年6月に交渉参加を認められなかった。また、交渉参加を決定し関係国に通告し参加が認められても交渉に参加できるのは早くて90日後になる。したがって、6月に交渉参加を決定しても交渉に参加できるのは9月以降となる。  

  TPP交渉参加には、全て自由化を行わねば認められないということはない。しかし、全ての事項を交渉の対象にすることは最低限必要である。USTRのTPP首席交渉官は「米国は日本に対し2国間の長期的な課題についてTPP交渉参加前に合意を求めない」と述べている。ただし、TPP交渉ではカークUSTR代表は2国間の長期的な課題について交渉をすると発言している。2国間の長期的課題は、牛肉の対日輸出、日本郵政と民間企業の金融、保険、デリバリーサービスにおける同等な競争条件の欠如、米国の自動車の日本市場へのアクセスを制限する措置などをあげている(USTRの2011年貿易アジェンダ)。

6.  TPPに関する誤解

  TPPについての理解や解説は誤解が多いようである。その主なものについて下記にあげてみた。TPPにより国が壊れる、あるいは、米国の経済支配を受けるというような主張もあるが、発効後4年以上を経過したP4加盟国で壊れた国はない。たとえば、シンガポールはP4だけでなく、米国、中国ともFTAを締結しているが、2010年は14%を超える経済成長を記録し、一人当たりGDPでは日本にほぼ匹敵するまで順調に発展している。P4参加国と日本の状況は違うが、賛成反対の議論の前に最低でもP4協定の内容とTPPの交渉状況を知り、冷静な議論を行うべきであろう。そのためにも政府や政府関係機関によるTPPについての情報提供とTPPによる影響についての専門家による幅広い調査・研究が望まれる。

  1. 発効と同時に即時全面自由化ではない。P4でも多くの品目が段階的な関税撤廃となっており、関税撤廃の除外品目が認められる可能性がある。
  2. 交渉参加には全て自由化することが条件とはなっていない。全ての事項を交渉の対象とすることは必要である。
  3. 政府調達では、P4、米韓FTAとも市町村レベルが対象になっていない。TPPは交渉次第だが、日本の場合、WTO政府調達協定と同様に中央政府機関、独立行政法人、地方政府機関では、県と一部の大都市が対象になると考えられる。また、WTO政府調達協定に7か国が参加していないため、TPPに入れば日本企業にはこれらの国の政府調達に参加する機会が拡大する。
  4. 労働者の受入れは交渉の対象外であり、TPPにより外国人労働者が流入することはない。TPPの交渉は、商用(貿易、投資)関係者の一時入国を円滑にすることが対象である。P4には労働力を保護し雇用を守るという規定がある。
  5. 農業に対する補助金はWTO(農業協定)で禁止されておらず、TPPにより禁じられることはない。

7.  TPPに関する情報について

TPPの推進論、反対論は、新聞、雑誌、インターネットなどで大量に発表されており、特に反対論は数冊の本がすでに刊行されている。しかし、TPPの内容や交渉状況についての情報は極めて不足している。TPPに関する資料を参考までに紹介する。

  1. 政府および公的機関の資料
    首相官邸「包括的経済連携に関する基本資料」、国家戦略室「包括的経済連携に関する資料」、外務省「TPP交渉の24部会において議論されている個別分野」、ジェトロ「環太平洋戦略経済連携協定の概要」、アジア経済研究所「アジ研ワールド・トレンド 2010年12月号」などが主要なものである。
  2. P4について  
    最も基本的な資料は協定文(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)である。協定文はシンガポール国際企業庁およびニュージーランド外交通商省のウェブサイトから入手できる。様々な視点による多角的な研究として、日本機械輸出組合「アジア太平洋におけるFTAの在り方」が刊行されている。日本語のP4の解説は、国際貿易投資研究所「国際貿易と投資」81号に掲載されているが2010年8月時点の情報に基づいて執筆されているので新しいデータにより補足する必要がある。英文の解説はニュージーランドの外交通商省が発表している。
  3. 米国のFTAについて
    米国のFTA協定は、USTRのウェブサイトから入手できる。また、FTA政策や貿易相手国の貿易障壁などの問題点についてはUSTRの資料が便利である。米国のFTAを含む通商政策についての日本語の資料では、国際貿易投資研究所「米国のFTA政策と我が国経済への影響」、同「オバマ政権の通商政策動向と対アジアFTA政策」が詳しい。また、「国際貿易と投資」には、オバマ政権の通商政策やFTA政策、アジア政策に関する論文が随時掲載されている。米韓FTAの内容については、ジェトロ海外調査部「米韓FTAを読む」が詳しい。より広い観点による分析では、奥田聡「韓米FTA」、「韓国のFTA」(ともにアジア経済研究所)が良い。
  4. TPPについて
    交渉参加国政府のウェブサイトと新聞報道が基本的な情報源である。米国については、議会調査局の報告も重要である。USTRのウェブサイトは多くの情報が掲載されており、親切である。海外の情報源として便利なのは、TPP Digest のウェブサイトである。オークランド大学からの資金によるプロジェクトであり、交渉参加国のTPP関連ウェブサイトとリンクしている。FTA協定文、政府資料、新聞報道、産業界、NGOや反対派資料まで幅広く情報を得ることができる。また、農業、環境、投資、労働、原産地規則など項目別の検索も可能である。リークされたニュージーランドの提案した知的財産権についての協定文も入手できる。